パパ活は不倫になるの?相手方への慰謝料請求についても解説

パパ活は不倫になるの?相手方への慰謝料請求についても解説
ここ数年、「パパ活」はニュースやバラエティ、ドラマなどでよく耳にするようになりました。パパ活とは、主に年上の男性が女性に対し、食事やデートをする対価として金銭を支払うものです。1990年代に社会現象となった「援助交際」とは違い、「パパ活」は男女間で肉体関係を伴わないことが特徴といえるでしょう。
今回は夫の「パパ活」が発覚した際における、妻が取るべき対応方法を詳しく解説します。

パパ活は不倫に該当するの?
パパ活が不倫に該当する・しないケースとは
肉体関係の有無
食事やデートのみ
相手への慰謝料請求は可能?
慰謝料は不倫(不法行為)への賠償金
一般的なパパ活だけなら慰謝料請求できない
肉体関係があった場合は慰謝料請求が可能
パパ活不倫に対する慰謝料の相場
慰謝料が請求できないケースも
夫が既婚者であることを隠していた
すでに夫婦関係が破綻していた
相手が誰だか分からない
不倫があったことを証明できない
パパ活の不倫の証明は証拠集めが重要
パパ活での不倫はすぐに弁護士へ相談

パパ活は不倫に該当するの?
前述した通り一般的にパパ活は、男性が年下の女性と食事やデートなどをして過ごし、その時間の対価として相手方に金銭を渡すことをいいます。基本的に肉体関係を伴いません。

一方で、時には手をつないだり肩を組むなどの軽いスキンシップを伴ったりすることもありますが、肉体関係があるといった要件に当てはまらない場合がほとんどでしょう。つまり、一般的なパパ活の範囲内であれば、不倫とはいえないのです。


パパ活が不倫に該当する・しないケースとは
一般的に考えてパパ活が不倫に当てはまらないとはいえ、不倫とみなされる可能性がないとはいえません。ここでは、パパ活が不倫に該当するケースとしないケースについて、解説します。

肉体関係の有無
パパ活が不倫に該当するかを判断する際は、不倫の定義を把握しておきましょう。

不倫とは、既婚者が配偶者以外の第三者と肉体関係を持つことです。これを法律上は「不貞行為」といいます。「不貞行為」は法定離婚事由のひとつであるため、パートナーに「不貞行為」があれば離婚が可能です。また、不貞関係があった場合、「有責配偶者」となり、有責配偶者からの離婚請求は原則として認められないという法効果を生じることになります。

肉体関係の定義については多少曖昧な点が存在しますが、一般的な性交渉はもちろん、それに準ずる行為についても不貞行為とみなされる可能性が高いといえます。例えば、性的類似行為(裸で抱き合う、一緒のベッドで寝る)などは、親密交際として不法行為に該当する可能性はあります。

一方で、パパ活で考えられる「手をつなぐ」行為や「ハグをする」などの範囲では、肉体関係それ自体ではありませんので、単体では、不貞行為とはみなされません。なお、「キスをする」行為については、そのことが証拠によって証明された場合は、不貞行為に準じる場合として、慰謝料額は低額とはいえ、不法行為が認められる可能性もあるかもしれません。

 

食事やデートのみ
一般的に、パパ活は男性が女性との時間を楽しみ、それに対する対価を支払う行為です。
具体的には食事やデートのみを楽しむことがほとんどでしょう。時には手をつないだりハグしたりしたことがあったとしても、それ以上の関係にはなりません。

つまり一般的なパパ活には、男女間の肉体関係やそれに準ずる行為がないため、不倫には該当しないといえます。ただし、同じ当事者同士のパパ活が重なってくると、不貞行為と評される場面も出てくる可能性はあります。

また、不法行為責任を追及する場合、ここでいう「男性」が結婚をしていたことを認識していたか、認識しなかったことについて過失があるかが問題になると思います。

しかし、一般的なパパ活は独身男性も多く行っているので、女性に故意・過失が認められないという判断もあり得るでしょう。

不貞問題に詳しい安藤一幹弁護士は、「食事やデートのみでは、慰謝料請求は難しいものの、婚姻を継続し難い重大な事由として離婚原因になる可能性がある」と話します。ただし、「飲酒目的であったとしても、ホテルの客室内などは、食事やデートのみでも法律上不貞行為があったものと推認されます」ので留意する必要があると話します。また、多額のパパ活代の支出は浪費の観点から問題になる可能性があると話しています。

相手への慰謝料請求は可能?

 難易度は高いですし、一回的なパパ活の場合、そこまでする必要性・相当性があるかを検討しましょう。

 

 一般的なパパ活だけでは不倫に該当しないとはいえ、妻にとっては第三者の女性に夫を取られたような不快感を覚えることでしょう。その際、相手方の女性に対し、償ってほしいと考えることもあるでしょうか。以下は相手方の女性に対する慰謝料請求が可能かどうかを解説します。もっとも、マッチングアプリと同様、余程深い関係になっていれば格別、実際上は困難が伴うことも多いのではないでしょうか。


慰謝料は不倫(不法行為)への賠償金

法律的に慰謝料は、不法行為に基づく損害賠償の側面を持っています。日本では、戦後、姦通罪は廃止されており、不貞行為は刑法上の犯罪ではありません。

一方で不倫は民法上の不法行為であるため、故意・過失がある限り、不法行為に基づく損害賠償請求(慰謝料請求)が可能といえるでしょう。

つまり、夫と相手方女性との間に肉体関係やそれに準じた行為(不貞行為)があれば、故意・過失がある限り、相手方に対しての慰謝料請求が可能です。
h3:一般的なパパ活だけなら慰謝料請求できない
何度もいいますが、一般的なパパ活だけでは不貞行為の定義に当てはまらないため、不倫とはいえません。

一般的なパパ活の場合は、例えば、男性が独りでフランス料理店に入るのを躊躇していたため、一緒に入る女性をパパ活で募集するということが考えられるように思います。

このような、パートナーである夫の行為が第三者である女性との食事やデートのみのケースでは、慰謝料請求は難しいでしょう。

一方で、パパ活が原因で夫婦間の婚姻関係が破壊されたようなケースでは、慰謝料の請求ができる可能性があります。具体的には、パパ活により、女性にお金を貢いでしまう点が浪費行為と判断されたり、妻に関心を示さなくなってしまったりすることにより、「婚姻関係を係属し難い重大な事由」があると判断される可能性はあると思います。この点については、より深く専門的な法律解釈が必要ですので弁護士にご相談ください。

また、慰謝料請求の可否や損害額は夫の行為や夫婦間の事情によって大きく異なるため、早めに弁護士に相談する方がよいでしょう。

肉体関係があった場合は慰謝料請求が可能

夫と相手方女性の間に肉体関係があることが明白であれば、慰謝料請求が可能です。もっとも、このことについては、証拠が必要と言わざるを得ません。
一方で、夫婦の離婚や相手方女性に対して慰謝料を請求する場合、肉体関係の有無が争点となることが多々あります。また、パパ活の女性に対する請求では、故意・過失が問題になることも多いと思います。

最終的な判断は裁判所に委ねられるため、夫と相手方女性との肉体関係を証明する確実な証拠が必要です。夫の不倫に関する証拠集めについては後述します。

パパ活不倫に対する慰謝料の相場
不倫に対する慰謝料の相場は、一般的にレストランの同行の場合は、レストランの代金に5000円程度というものもあれば、数十万円から多くて300万円程度のものまで様々です。
慰謝料の金額は、夫婦の離婚有無や夫の不倫の期間・回数などによって異なります。
相手方女性に請求する金額については、弁護士と相談の上で決定するとよいでしょう。
 もっとも、最近は、パパ活の女性が結婚をほのめかすなどして、結婚詐欺の可能性も否定できないケースも出てきています。パパ活自体リスクも考慮にべきでしょう。

慰謝料が請求できないケースも

夫と相手方女性との肉体関係について疑いの余地がなかったとしても、慰謝料が請求できないケースが存在します。
慰謝料を請求する際の落とし穴といえるため、次の点をしっかりと理解しておきましょう。

夫が既婚者であることを隠していた

夫が相手方女性を欺いており、女性が夫のことを独身と思い込んでいたケースです。マッチングアプリで既婚者が遊んでいる場合、パパ活相手をアプリで探している場合に、しばしばこのような点が問題になります。この点について、相手方女性が夫から完全に騙されており、独身男性だと信じていた場合は、その内容に非がないと判断されれば、慰謝料請求はできません。

一方で「夫が結婚指輪をはめていた」「夫が自分の子どもの話をしていた」「夫が妻の悪口をいっていた」「LINE上で不倫になっちゃうね」などとやり取りをしていたなど、相手方女性が夫のことを既婚者であると認識でき得る状況であった場合には、相手方女性に対して過失があると認めることができ、慰謝料請求できる可能性があります。
h3:すでに夫婦関係が破綻していた
夫のパパ活不倫がはじまった時点において、すでに夫婦関係が破綻していたケースです。
夫婦関係が破綻していた場合は、慰謝料請求できない可能性が高いでしょう。

具体的には、相手方の女性が夫のことを既婚者であることを知っていたとしても、次のようなケースでは夫婦関係がすでに破綻していたとみなされ、慰謝料が請求できない可能性が高いと考えられます。

● 夫婦が長期(数年)にわたって別居している
● 夫婦がお互いに長期間連絡を取っていない

相手が誰だか分からない
そもそも慰謝料を請求するためには、相手方女性の素性を知らなくてはなりません。誰だか分からず、連絡が取れない相手への慰謝料請求は困難です。

パパ活として、パパ活アプリを活用して、LINEや電話番号など知らない場合は、相手の特定が難しいという問題があります。

夫に相手の名前や住所などを聞いたとしても、夫は相手を隠し続ける可能性があります。夫が相手を隠し続けている以上、素性の把握は容易ではありません。

一方で、男女間トラブルの専門家である弁護士は、相手方女性を把握するためのさまざまな助言をすることができます。

夫と押し問答を繰り返すようであれば、早めに離婚弁護士に相談しましょう。
h3:不倫があったことを証明できない
夫と相手方女性との間に不倫があったことについて、疑いの余地がないと考えている場合であっても、それを証明できる確かな証拠がなければ慰謝料は請求できません。

一方で、不倫に関しての充分な証拠を集められなかったとしても、証拠の内容次第では裁判官が不貞関係があったことを推定し、不貞行為を認定する可能性があります。

例えば、夫と相手方女性が一緒にラブホテルに入る写真や動画があった場合、一般的にラブホテルは肉体関係を持つための場所であると考えられるため、不貞行為があったと認定されるのです。

不倫を証明するための証拠がどのように採用されるかについては、ケースバイケースといえます。非常に専門的な法解釈が必要なため、弁護士と相談しながら進めることをおすすめします。
h2:パパ活の不倫の証明は証拠集めが重要
前述の通り、夫と相手方女性との不倫関係を証明するためには、何よりも証拠集めが重要です。それも、夫や相手方女性が言い逃れできないような、確実な証拠が求められます。

夫の不倫を確信した際には、感情が激昂してしまうこともあるでしょう。しかし一時の感情に任せ、いきなり夫を問い詰めることは賢明ではありません。そのような時こそ冷静になり、証拠を集めましょう。

また、証拠の集め方によっては後でトラブルになる可能性があります。そのため、弁護士のアドバイスに従って行動するべきでしょう。証拠集めの際、有効な証拠になり得るものを次に挙げます。

● パパ活アプリの夫のプロフィールのスクリーンショット
● 夫が相手とスマートフォンでやりとりした内容のスクリーンショット
● スマートフォン内にある夫と相手との親密な写真
● 夫が使用したクレジットカードの明細や領収証
● 夫が不倫を認めた書面やデータ

ただし「強制的に書かされた」「脅迫されて言わされた」など、夫が証拠の信用性を争ってこないように、その前後は全て録画したり、第三者に入ってもらったりすることをおすすめします。

パパ活での不倫はすぐに弁護士へ相談

夫がパパ活で不倫をしていたら、その後の行動が非常に重要です。個人で証拠集めをしたり慰謝料請求をしたりすることは、非常にハードルが高いといえるでしょう。もっとも、パパ活の内容に照らすと、食事やデートを楽しんだなど、いわば社会的儀礼に収まるケースも少なくなく、その内容をよく精査してコスパやタイパも踏まえて判断するべきでしょう。また、逆にパパ活女性から脅されてしまうこともあるかもしれません。

早めに弁護士へ相談すれば、証拠集めの段階から適切なアドバイスが受けられます。ひとりで悩むよりも、まずはお気軽に無料相談をしてください。

なお、パパ活は、年齢によっては、例えば18歳未満の場合、刑法上の問題(未成年者誘拐罪)などが生じる恐れがあります。下手に責任追及したら女性が「児童」であり、児童ポルノ法(児童買春)に該当したり、未成年者誘拐罪に該当したりということもあり得ないことではありません。

このほか、結婚詐欺であるパパ活の場合はどうなるかという点ですが、仮に男性がパパ活女性から結婚詐欺で騙されていても既婚者である以上、婚姻予約をすること自体が公序良俗に反すると言わざるを得ず、男性が詐欺の被害者であることは、不貞行為の不法行為責任を阻却するものではないと考えられていますので注意してください。

名古屋駅ヒラソル法律事務所では、不倫や不貞の問題の経験が豊富な弁護士が、親身で迅速な対応を行います。

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