浮気相手に対してやってはいけない行動とは?正しく対応する方法も解説

浮気相手に対してやってはいけない行動とは?正しく対応する方法も解説

 

夫や妻に浮気されると、浮気相手に対しては腹が立つものです。浮気相手へ嫌がらせをしたくなる方も少なくありません。

しかし浮気相手に対してもやってはいけないことがいくつかあります。

法的なルールを破ると、むしろ不倫の被害者側が不利になってしまう可能性もあるので注意しなければなりません。

 

この記事では不倫されたときに浮気相手に対してやってはいけないことを解説します。

浮気されて精神的にショックを受けている方、浮気相手に仕返しをしたいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。

 

この分野はユーチューブなどの動画などで、時折間違った知識をお持ちの方も多いですので、弁護士のコラムをぜひ参考にしてみてください。

 

1.浮気相手に対する暴行

まず浮気相手に対して暴力を振るってはなりません。

暴力を振るうと、暴行罪が成立してしまいます。相手がケガをしたら傷害罪となり、より罪が重くなります。

 

(暴行)

刑法第208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

(傷害)

刑法第204条 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

 

犯罪が成立してしまうと、相手から被害届を出されてこちらが加害者扱いになってしまう可能性もあるので、暴力は控えましょう。

 

2.浮気相手に対する脅迫、強要、恐喝

浮気相手に腹を立てたとしても、脅迫や強要、恐喝をしてはなりません。

脅迫とは、相手を脅すことです。相手に対し「殺す」「大切なものを奪う」「放火する」「子どもをさらう」「名誉を毀損する」などと告げた場合、脅迫した時点で脅迫罪が成立します。

 

強要とは、相手に義務のないことを無理にさせることを意味します。たとえば相手を脅して無理に土下座させると強要罪が成立する可能性があります。民法が予定している市民社会はテレビドラマのような世界ではありませんので、不倫の加害者に対しても無理に土下座を求めるようなことはあってはなりません。

 

恐喝とは、相手に暴行や脅迫をして無理に財産給付をさせる犯罪です。たとえば相手を脅して無理に慰謝料を払わせると恐喝罪が成立する可能性があります。一般的に、民法における市民社会においては多少の駆け引きが予定されていますが、正当な権限があったとしても、相手方を畏怖させて金銭を給付させるという構成要件を満たしてしまうと、脅迫罪や恐喝罪が成立することがあります。

 

脅迫をすると脅迫罪、強要行為をすると強要罪、恐喝をすると恐喝罪がそれぞれ成立します。社会的に相当な請求を行うという意味でも、弁護士を活用されるのは良いことではないか、と思います。

 

(脅迫)

刑法第222条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

 

(強要)

223条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。

2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。

3 前2項の罪の未遂は、罰する。

 

(恐喝)

249条 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

 

3.職場への怒鳴り込み

浮気されると、浮気相手が仕事をしていることも疎ましく思ってしまうケースがよくあります。よく動画サイトなどで、「職場に突撃」して復讐してやったという経験談が紹介されています。

そうだとしても、相手の職場へ怒鳴り込んではいけません。

相手の職場の業務を妨害すると、業務妨害罪が成立してしまう可能性があります。

また職場の同僚や上司のいる前で相手を罵ると、名誉毀損罪や侮辱罪が成立する可能性もあります。特に、不貞行為は、相手方の社会的地位を低下させる可能性があるので、名誉棄損罪の成立に慎重に配慮しながら、交渉する必要があるところ、濫りに職場に連絡を普通郵便などで送付する行為自体も最近では問題視され始めています。

たしかに、会社法務を担当していると、人事上、不貞をした社員同士を同一部署に置いておけないため、他部署異動させるということはありますが、こうしたことを求める権利が不倫の被害者にあるわけではありませんので、注意が必要です。

 

(偽計業務妨害)

刑法第233条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

(威力業務妨害)

刑法第234条 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

(名誉毀損)

刑法第230条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

(侮辱)

刑法第231条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

 

4.職場へ電話して同僚や上司に告げ口する

不倫相手の職場へ電話をして、同僚や上司に不倫について告げ口するのも控えましょう。そのようなことをすると、不倫相手に対して名誉毀損罪や侮辱罪が成立する可能性があります。

 

また職場の上司や同僚などに不倫を告げ口しても、相手が解雇されるわけではありません。不倫はプライベートな問題であり、不倫しても仕事さえしていれば会社にとっては解雇理由がないからです。

昔は、不倫した場合、職場環境を悪化させるということで、不利益に異動が行われることなどがありましたが、最近はむしろプライバシーを重視する考え方もあり、不倫を理由に不当な配転などはできないと理解され、かつての感覚で暴露すると名誉棄損で刑事告訴を受けるだけ、という結果に終わることもあるでしょう。

会社に「○○さんは不倫しているのでやめさせるべきです」などと言ってもトラブルを招くだけです。

 

5.嫌がらせの電話

不倫が発覚すると、相手に無言電話などの嫌がらせの電話をする人もいます。

しかし嫌がらせの電話をかけるべきではありません。

電話越しに相手を脅すと「脅迫罪」となってしまう可能性がありますし、しつこい無言電話などによって相手がうつ病やPTSDになってしまうと「傷害罪」で訴えられる可能性もあります。

嫌がらせをしても慰謝料が必ずしも払われるわけではありません。

 

6.嫌がらせのメールやLINEを送る

浮気相手へ嫌がらせのメールやLINEを送るのも控えるようおすすめします。

メールやLINEであっても相手を脅すと脅迫罪になりますし、慰謝料支払いを強要すると恐喝罪が成立する可能性もあります。

 

ただし慰謝料請求のためだけに冷静な文面で連絡するのであれば、問題ありません。

 

7.浮気相手の家に侵入する、退去しない

浮気が発覚すると、相手がどのような人か調べようと思って相手の家を見に行く方もいます。

これも、インターネット上の動画で、「不貞相手の家に突撃した結果」といったものが紹介されていることがありますが、こうした行為の類で、不貞の自白を得て有利な展開になった方もいますが、端的に住居侵入罪で刑事告訴されると立場が逆転してしまうこともあるでしょう。

単に家を見に行くだけならかまわないのですが、無断で家の敷地に侵入してはなりません。

相手の意思に反して敷地内に侵入すると、住居侵入罪が成立してしまいます。

 

慰謝料を払ってもらうためなどの理由で浮気相手の家を訪ねる場合でも、相手が要求したら、すぐに退去しましょう。

退去を求められているのにしつこく居座ると「不退去罪」が成立してしまう可能性があります。

 

(住居侵入等)

刑法第130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

 

8.監禁する、無理に書面を書かせる

浮気相手の言動が気に入らないからといって、監禁してはなりません。

たとえば「念書を書くまで帰さない」「慰謝料を支払うまで帰さない」などといってどこかの場所に閉じ込めると、監禁罪が成立してしまう可能性があります。よくあるのは自動車などに閉じ込めるといった例です。

またそのようにして無理やり書かせた念書や慰謝料支払いの合意書は無効になる可能性があります。

浮気相手を監禁したり無理に書面を書かせたりしないようにしましょう。

最近では、ファミリーレストランなど、オープンな場所での話合いでも、熟慮期間を与えず、すぐに念書や慰謝料支払いの合意書を書かせることに対しても、社会的相当性からの疑問が持たれるようになっています。

(逮捕及び監禁)

刑法 第220条 不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

 

9.退職を強要する

相手が働いているのが気に入らないからと言って、無理に退職を迫るべきではありません。よくあるのが、不貞相手と配偶者の職場が同じという場合です。

しかし、不倫と仕事は本来無関係です。不倫したからといって仕事をやめなければならない理由はありません。不倫したことを理由に退職するよう強要すると、強要罪が成立する可能性もあります。

また、仕事を辞めさせると、慰謝料支払いの実効性がなくなる可能性もあるので、冷静に法的解決をすることが妥当です。

10.       名誉毀損、浮気を広める

ネットなどで不倫を広めるなど、名誉毀損行為をしてはなりません。

名誉毀損罪や侮辱罪が成立する可能性があります。

よくあるのが以下のようなネット上の嫌がらせです。

  • ブログで不倫を広める、相手の実名を出して攻撃する
  • ネット掲示板に書き込む
  • SNSで相手になりすまして投稿する
  • SNSで実名を出して相手の不倫を明らかにする

上記はすべて名誉毀損になりかねない違法行為です。相手から訴えられる可能性があるので、やってはいけません。以前、憎しみのあまりこうした行為をされた方がいましたが、刑事で罰金となり、さらに民事裁判まで起こされ、逆に慰謝料を支払う結果となったこともありました。

 

11.親族への請求

不倫されて相手が慰謝料を払わない場合、相手の親などの親族へ慰謝料請求する人がいます。

しかし親族への請求も控えるべきです。そもそも不倫は個人的な問題であり、親族には関係がありません。親族に支払義務がないのに無理に金銭を要求すると、恐喝罪になってしまう可能性もあります。また相手の親族が不倫を知らなかったのに不倫の事実を告げると、プライバシー権侵害となってしまうケースも考えられます。すると、相手の方から慰謝料請求される可能性があります。

 

不倫されて納得できなくても、親などの親族への連絡は原則として控えましょう。

 

12.       不倫された場合には慰謝料を請求する

不倫されたからといって上記のような行動をとると、相手から被害届や刑事告訴をされて刑事事件になってしまう可能性があります。するとこちらが加害者、不倫相手が被害者の立場になってしまい、納得できない方が多いでしょう。

 

また相手から慰謝料を請求される可能性もあります。相手が不倫したのにこちらが慰謝料を払わねばならないのも多くの方は承服しかねるはずです。

 

不倫された場合には、法に則り、適切に、相手に慰謝料を請求しましょう。

慰謝料請求は正当な権利行使なので、正しい方法であれば行っても違法ではありません。ただ、何が正しい方法であるかは、時と場合によって変わることもあります。

まずは弁護士に依頼して、内容証明郵便で慰謝料の請求書を作成し、相手に送る等の方法が考えられます。その上で金額等を交渉して払ってもらえたら、不倫トラブルを解決できます。

 

不倫されたとしても、不法な実力行使ではなく正当な権利行使によって相手にペナルティを与えるべきです。

 

13.不倫トラブルを弁護士に相談するメリット

不倫相手に慰謝料請求するときには、弁護士に相談するようおすすめします。

自分で慰謝料請求すると、どうしても感情的になってしまってスムーズに進められないケースが多いためです。

 

13-1.弁護士は相場を把握して効果的に慰謝料請求を進められる

慰謝料には相場がありますが、法的知識のない方の場合にはどのくらいの金額が妥当か適切に判断しにくいでしょう。あるいは不貞相手の金額の提示次第では訴訟も辞さないほどの覚悟があるかどうかでも変わってくるでしょう。

相手が「払わない」「お金がない」などと言ってきたときにそれ以上対応できなくなってしまうケースも少なくありません。

 

弁護士がついていれば、弁護士が慰謝料請求の交渉を行います。弁護士は専門家として法的な慰謝料の相場を把握していますし、相手が支払わないなどと言ってきたときの対処方法も熟知しているので、効果的に慰謝料を回収できます。もっとも、話合いは、双方がテーブルにつくことが条件となりますので、不貞相手が話合いのテーブルにつかない場合は訴訟をするしかありません。場合によっては、訴訟を起こして慰謝料を請求することも可能です。

 

弁護士に依頼すると、他にも以下のようなメリットがあります。

13-2.やるべきことや、反対にやってはならないことを具体的に教えてくれる

慰謝料請求のためにやったほうが良いことや、反対にやってはならない行動について正確に教えてもらえます。

13-3.浮気の証拠集めの方法を教えてもらえる

浮気の証拠集めの方法がわからない場合や手持ちに証拠がない場合でも、弁護士に依頼すれば具体的に教えてもらえます。

13-4.慰謝料請求の交渉を代理で進めてくれる

弁護士は慰謝料請求を代理で進めてくれるので、依頼者としては慰謝料請求にかかる手間や時間を節約できます。なお、最近、探偵が収集した証拠資料を前提に、不貞被害者の示談交渉に同行し、事実上示談交渉をしている例もあるようですが、法的事務の代理をできるのは、弁護士(一部の金額については簡裁代理権を持つ司法書士)のみです。探偵による示談交渉は「にせ弁護士行為」であり違法ですので、それを利用するのも違法と考えられますので、違法行為を助長することがないようにしましょう。

13-5.精神的なストレスを大きく軽減できる

自分で慰謝料請求すると大きな精神的ストレスがかかりますが、弁護士に依頼すると相手と直接接触する必要がありません。依頼者の精神的なストレスも大きく軽減できます。

 

まとめ

配偶者に浮気されて相手を「許せない」と思うなら、違法行為(特に違法な実力行使)をせずに正当な方法で慰謝料を請求しましょう。

名古屋駅ヒラソル法律事務所では不倫トラブルの解決に力を入れて取り組んでいます。不倫慰謝料を回収してきた実績も多数あります。

夫や妻の不倫問題でお困りの場合には、お気軽にご相談ください。

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