浮気慰謝料の合意書は「公正証書」に!作成方法、費用を解説

 

浮気慰謝料の合意書は「公正証書」に!作成方法、費用を解説

 

浮気相手から慰謝料を払ってもらうための合意ができたら、単なる当事者間の合意書だけではなく「公正証書」を作成しましょう。特に分割払いの場合は必須といえるでしょう。

 

公正証書にしておくと、万一相手が支払いをしなくなったときにすぐに差し押さえができるなどのメリットがあります。

 

今回は浮気慰謝料の合意を公正証書にするメリットや公正証書の作成方法、費用などについて解説します。

 

1.公正証書とは

公正証書とは、公証人が作成する公文書の一種です。民間人が作成する合意書よりも信用性が高く、強い法的効力が認められます。

 

最大の特徴は「強制執行認諾条項」をつけておくと、債務者が支払いをしないときに差し押さえができることです。また公正証書の原本は公証役場で保管され、当事者には「正本」や「謄本」とよばれる写しが交付されます。

 

浮気相手と慰謝料について話し合って合意ができたとき、公証役場へ持ち込むと合意内容を公正証書にしてもらえます。

 

2.公正証書と当事者間の合意書の違い

公正証書と自分たちで作成した合意書では何が違うのか、みてみましょう。

 

2-1.強制執行力が認められる

単なる当事者間の合意書には強制執行力がないので、相手が滞納しても差し押さえはできません。まずは裁判を起こして判決などの債務名義を獲得する必要があります。

公正証書に「強制執行認諾条項」をつけておくと、支払い義務者が滞納したときに差し押さえができます。

 

2-2.作成方法

公正証書と合意書では、作成方法が大きく異なります。

合意書は、当事者が自分たちで条項を記載して日付を入れて、双方が署名押印して完成させるものです。

 

公正証書の場合、公証人に依頼して書面を作成してもらい、公証人と当事者が署名押印して原本を完成させます。

 

2-3.文書の性質

当事者間で作成する合意書の場合、作成名義人は合意した当事者2名で「私文書」となります。

一方、公正証書は公証人が作成する「公文書」です。公文書には私文書と比べて高い信用性が認められ、無効になる可能性は極めて低くなります。

 

3.浮気慰謝料の合意を公正証書にするメリット

浮気慰謝料の合意ができたとき、公正証書にすると以下のようなメリットがあります。

 

3-1.滞納されたらすぐに強制執行できる

浮気慰謝料を払ってもらう約束をしても、必ず守られるとは限りません。特に分割払いにすると、途中で払われなくなる高いリスクが発生します。

 

公正証書があれば、相手が支払いをしないときにすぐに給料や預金、保険などの資産を差し押さえて回収できるメリットがあります。

確実に浮気慰謝料の支払いを受けるには、公正証書を作成しておくべきといえるでしょう。

 

3-2.無効や取り消しをされるリスクが低くなる

公正証書を作成する際には、公証役場で本人確認や意思確認が行われます。

後に相手が「自分が作成したものではない」「脅迫された、だまされて作成させられた」などといって無効や取り消しを主張しても、通りにくくなります。

 

単なる合意書よりも、無効や取り消しのリスクが低くなるのもメリットです。

 

3-3.紛失リスクがない

公正証書を作成すると、原本が公証役場で保管されます。

当事者に交付されるのは写しなので、紛失してもまた再発行してもらえます。

自分たちで作成した合意書はいったんなくすと再発行できませんが、公正証書なら紛失リスクがないのもメリットといえます。

 

4.公正証書を作成する場合の注意点

公正証書を作成する際には、以下の4つのポイントに注意しましょう。

4-1.合意しないと公正証書を作成できない

浮気慰謝料の合意内容を公正証書にするには、先に自分たちで話し合って慰謝料の額や支払い方法等の条件を決めておく必要があります。慰謝料を支払うかどうか争いがある状態では、公正証書を作成してもらえません。

公証人は慰謝料の支払い方法などについての相談には乗ってくれないので注意が必要です。

合意できない場合、弁護士に相談したり交渉の代行を依頼したりして、まずは相手と取り決めをするのが先決です。

 

4-2.相手が同意しないと公正証書を作成できない

慰謝料の支払いについて合意ができても、相手が「公正証書の作成」に同意しなければ公正証書は作成できません。

公正証書を作成する際には、当事者双方が公証役場へ出頭して本人確認や意思確認をして署名押印しなければならないからです。

相手が拒否する場合、無理に公正証書を作成できないので、まずは説得しなければなりません。

 

4-3.費用がかかる

公正証書の作成には費用がかかります。金額は払われる慰謝料の金額に応じて変わりますが、最低でも5000円~ です。

作成の際にはどちらがどれだけ払うのか、折半するのかなど決める必要があります。

 

4-4.相手に財産がなかったら差し押さえができない

公正証書を作成しても、相手に資産がなければ差し押さえはできません。

差し押さえるべき対象資産は、債権者が特定する必要があります。

たとえば相手の勤務先、取引先の金融機関や証券会社、所有不動産などの情報を収集しておかねばなりません。

 

相手の財産を特定するため、裁判所の財産開示制度や第三者からの情報照会制度なども利用できます。公正証書も財産開示制度の対象になる「債務名義」になっています。不倫の慰謝料請求の解決方法でお困りであれば、弁護士までご相談ください。

 

 

5.浮気慰謝料の合意を公正証書にすべきケース

浮気慰謝料の合意ができたとき、以下のような状況であれば必ず公正証書化すべきです。

5-1.慰謝料が分割払いになる

慰謝料を分割払いにする場合、相手が途中で支払わなくなるリスクが高まります。

公正証書があれば回収の確実性が上がるので、作成しておくべきです。

特に半年、1年やそれ以上の長期にわたって分割払いの期間を設定するなら、必ず公正証書を作成しましょう。

 

5-2.慰謝料の金額が高い

慰謝料の金額が高額な場合、相手が約束を破ったときの影響が大きくなります。

また公正証書の作成や強制執行には費用がかかりますが、慰謝料の金額が大きければ費用を払っても権利を守る必要性が高まるでしょう。

いくら以上なら公正証書が必要という明確な基準はありませんが、目安でいうと50万円を超えるようなら公正証書を作成しておいた方がよいでしょう。

 

6.公正証書の作成方法

公正証書を作成するには、以下の手順で進めましょう。

6-1.相手と合意する

まずは浮気相手と話し合い、慰謝料の支払い条件について合意しなければなりません。

その上で、合意内容を公正証書にすることについても同意を得ましょう。

公正証書の作成には費用がかかるので、どちらが負担するかも決めなければなりません。

折半するのが公平ですが、相手が公正証書化を渋る場合には、こちらが全額負担しても公正証書を作成すべきです。

 

6-2.合意内容を書面にする

次に自分たちで話し合って合意した内容を書面化しましょう。

公証人に合意内容を伝えるためです。

慰謝料支払いの合意をするときには、慰謝料の金額や支払い方法だけではなく、遅延損害金や接触禁止条項、秘密保持条項、違約金なども定めるケースが多数です。

口頭では正確に伝わりにくいので、事前に書面を作成しておくとスムーズに手続きを進めやすくなります。

 

正式な合意書のかたちにまとまっていない「メモ」程度でもかまわないので、書面にまとめておきましょう。

 

6-3.公証役場へ申し込む

準備ができたら、お近くの公証役場へ公正証書の作成を申し込みます。

特に管轄は決まっておらず、全国にあるどこの公証役場でもかまいません。

自宅や職場から近い場所を選ぶと便利です。

申し込みをすると、担当の公証人が決まってやり取りを進めます。通常はこのやりとりは法律家を通して行うことが多いのではないか、と思います。

 

6-4.必要書類を集める

公正証書の作成の際、いくつかの書類が必要となります。

  • 印鑑証明書と実印
  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード。写真付きの住民基本台帳カード、身体障害者手帳など)

公証人から指示されたとおりに準備しましょう。浮気相手にも必要書類を用意させなければなりません。

 

6-5.公証役場へ出頭して公正証書を作成してもらう

公証人と日程調整を行い、公正証書を作成する日時を決めます。

当日、相手と一緒に公証役場へ行き、署名押印して費用を払えば公正証書を作成してもらえます。

公正証書が仕上がったら正本や謄本などの写しを受け取れます。

特に正本は差し押さえの際に必要なので、なくさないように保管しましょう。

 

7.公正証書にかかる費用

公正証書作成の際には、手数料がかかります。

金額は以下のとおりです。

 

 

慰謝料の金額

手数料

100万円以下

5000

100万円を超えて200万円以下

7000

200万円を超えて500万円以下

11000

500万円を超えて1000万円以下

17000

1000万円を超えて3000万円以下

23000

3000万円を超えて5000万円以下

29000

5000万円を超えて1億円以下

43000

1億円を超えて3億円以下

5000万円ごとに、43000円に13000円を加算する

3億円を超え10億円以下

5000万円ごとに、95000円に11000円を加算する

10億円を超える場合

5000万円ごとに、249000万円に8000円を加算する

 

手数料は、公正証書を作成する当日「現金」で払わねばなりません。事前に公証人から金額を聞いておいて、当日はお金を持参しましょう。

 

公正証書の作成を弁護士に依頼したら、弁護士が代理人として出頭します。このため、ご自身が公証役場へ出頭する必要はありません。浮気相手が出頭を渋る場合にも、弁護士や第三者へ代理を依頼できます。

また、相手と直接顔を会わせないメリットもあります。浮気の合意書を公正証書にしたい方は、お気軽にご相談ください。

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