不貞相手の会社に連絡するのは違法?
結論からいうと、民事責任だけではなく 刑事責任も問われる可能性があります。
名誉毀損はそもそも刑法典に規定があるものを民法が不法行為法で借用しています。
ですから、ちょっと罰金くらい、と思っていたら逮捕・勾留ということもあるかもしれません。
不貞の問題では、情緒的盛り上がりから冷静さを欠いた行動をとり、これにより金銭をとったら強盗や恐喝になる可能性すらあります。
不貞相手への会社の連絡は嫌がらせを目的としていると推認されます。したがって、プライベートな事柄なので全く公益性がありません。
例えば、松本亜梨実さんが、夫の銀三さんの不倫相手である光希さんの会社に、裁判の資料をもって部長や社長と面談し光希さんの悪口をいったらどうなるでしょうか。
この場合、実は会社は家族を守る観点から光希さんよりも妻側の言い分を比較信用しやすいというパラドックスがおきます。
結果、光希さんは退職勧奨され、総務部の女性従業員を通じて不倫のうわさが広がってしまいましたので退職せざるを得なくなりました。
光希さんは、弁護士に相談し会社都合で解雇するよう申し入れました。
この場合、亜梨実さんの行動は、光希さんとの間の紛争の中で専ら自己の主張する言い分である不貞を認めさせて圧力をかけさせることが目的となります。
亜梨実さんは既に自分で光希さんに内容証明を送付していましたので、光希さんとの和解交渉を有利に進めるためのものと推認されることになるでしょう。
これに対して亜梨実さんは、知り合いの森弁護士に対応を依頼しました。森弁護士は最初は不貞案件の請求側でやる気満々でしたが、次第に自分で内容証明を会社に送って、会社に乗り込んでいたり、裁判資料を提出させていたりしていたりしたことが分かってきました。森弁護士は、裁判で「真実である」という書面を提出しました。
さて、真実だと名誉毀損をしてもいいのでしょうか。
名誉毀損は相手の社会的信用を落とすことをいいますから、真実かどうかは政治家でない限り基本的に関係のないことです。
そこで裁判所は、公共性もないし、公益性もないし、真実だ、という書面は名誉毀損を認めるという趣旨でよろしいのですか。
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森弁護士の主張書面には「対抗言論」ができるといいますが、会社の場合は上下関係がありますし、対抗言論は対抗して名誉が回復されたときに違法性の程度で考慮される要素に過ぎず、裁判所と美希さんの弁護士から失笑を買う始末。
裁判所も自白であれば、もう名誉毀損で加害行為はあったということでいいですね・・・と淡々と言い放つのでした。
以上をみても分かるとおり、不貞や不倫の問題については、弁護士を通じて交渉するのが最も安全といえます。現在は妻ということもありますが、光希さんが独身で、失職したということになると窮鼠猫を噛むということも起こり得ます。光希さんはさらにBHの弁護士に名誉毀損の内容がデリバリーヘルスで働いているなどあまりにひどい内容であったとして、刑事告訴するよう求めてきました。その後、亜梨実さんは、弁護士に依頼していたにもかかわらず逮捕・勾留されることになりました。
示談交渉というのは、一歩間違えると恐喝、脅迫、強盗になりやすいということによく注意しましょう!