社内不倫はどうするのか?弁護士が解説

社内不倫はどうなるのか?弁護士が解説

 

同じ会社の同僚同士の不倫は後を絶ちません。この場合、それぞれの上司にクレームがあるということもあります。そこで勤務地を離すということはできるのでしょうか。

 

不倫には、「社外不倫」と「社内不倫」があります。

社外不倫の場合は、私生活上の行状ということになりますので、企業秩序への影響も限定的と考えられます。

これに対して、「社内不倫」のパターンは、「完全な私生活の行状」ということはできず、企業秩序との関係が深いといえます。

例えば、双方の配偶者が上司にクレームを入れるような状況の場合であれば、職務への影響も避けては通れないのではないかと考えられます。

このため、「社内不倫」の場合は、会社も一定程度関与することが考えられます。

なお、実務上は、そもそも二人の関係が「怪しい」という程度で特に証拠がないという場合もあります。この場合は、「誤解を招かないように注意」して終わることもあり得ます。

 

今回は社内不倫の場合の人事異動や懲戒処分について弁護士がお伝えします。

 

1.人事異動について

名古屋営業所で不倫が発覚した場合、一人を帯広営業所に飛ばすことはできるのでしょうか。

不倫が職務に与える影響にもよりますが、一定以上の職務や企業秩序への影響がある場合は配転を行うことも十分に考えられます。

まずは、配転を打診し、拒絶するようであれば配転命令というパターンになるかと思います。

もちろん、配転命令には、権利濫用の法理が適用されますから、業務上の必要性、配転命令の動機・目的、労働者が受ける著しい不利益を総合考慮することになります。

例えば、職務や企業秩序への影響が軽微であるのに、「社内不倫」を重視して、大きな左遷を行うようなことがあれば、配転命令が無効になることもあります。

 

会社としては、私生活上のことではありますが、不倫解消に向けて、会社として一定の働きかけは正当化され、むしろ望ましいと考えられるようになっています。

 

会社としては、紛争の矢面に立つというよりかは、職務や企業秩序への影響を踏まえながら、人事異動を行い、また、必要に応じて懲戒処分も検討するという前提で、社内不倫に介入するかしないか、企業秩序への影響とその程度を考えて個別具体的に判断されるものといえます。

 

2.「社内不倫」に懲戒処分は?

一般に、懲戒解雇は難しいですが、何らかの懲戒処分ができる場合はあると思います。

裁判例では、以下のものがあります。

  • 社内不倫で懲戒解雇になったものの懲戒解雇を無効にしたケース(繁機工設備や豊橋総合自動車学校事件)があります。豊橋総合自動車学校事件では、送迎バスの運転手と教習生という事案でした。
  • 白頭学院事件では、教師と教え子の親、大阪府教育委員会池田高校事件は教師と教え子の事例で、いずれも懲戒解雇を有効としています。

2-1.懲戒事由該当性について

懲戒事由は就業規則に定めてあることが多いといえますが、一般には、社内の秩序風紀を乱すことや素行不良が懲戒事由とされており、「社内不倫」はこれに該当し得るものとされています。

また、「社内不倫」に伴い他の非違行為が行われることもあります。

  •  出張名目で不倫旅行をする
  •  ラブホテルを経費で落とそうとする。
  •  外回り営業と称してデートをしていた
  •  職務権限を楯に交際を強いていたのであれば、職務専念義務違反、経費不正流用、セクハラなどに該当する恐れもあります。

2-2.処分の量定について

懲戒事由に該当するとしても、安易に懲戒解雇にすると、社会的相当性がないとして無効とされる可能性があります。豊橋総合自動車学校事件や繁機工設備事件は、このような判断をしたものと理解されるべきです。

なお、夫婦間のトラブルが社内にしばしば持ち込まれ、職場でのトラブルが再三にわたって演じられる場合は、社内秩序への具体的侵害があるとして、懲戒解雇も相当とする見解もあります。

このように会社から、具体的事案における社内秩序の違反の程度や素行不良の程度に応じた処分を量定すべきということになります。そのために、弁護士に委任しておくのも重要な事柄であるといえるでしょう。

なお、「社内不倫」のほかに、職務専念義務違反、経費不正流用、セクハラなど、別の懲戒事由にもなりかねない場合は早めに弁護士に相談することをおすすめいたします。

 

 

2-3.取引先との不倫の場合との相違

取引先の場合、たしかに「社外不倫」となります。しかし、その非行は、企業秩序に直接的関連性があるかを検討する必要があります。

この点、取引先との不倫、特に会社業務に伴い、知り合った相手との不倫であれば、完全な私生活上の行状とはいえず、企業秩序との関係があります。そして、不倫が原因で取引先の関係が悪化するなど、一定以上の職務や企業秩序への影響がある場合は、「社内不倫」と同様に懲戒処分に該当し、何らかの懲戒処分をすることが可能な場合もあります。

まとめ

名古屋駅ヒラソル法律事務所では、もともと労働問題に詳しく、また、不倫慰謝料トラブルへの対応に力を入れており、相手に対する慰謝料請求でも数多くの実績を上げております。多くのケースで慰謝料の獲得に成功したり、請求された側弁護での対応に成功したりしているので、お悩みの方はお気軽にご相談ください。

以上

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