不倫に詳しい弁護士に離婚請求をききました。
―最高裁としてはどれくらいの期間で離婚を認めているのでしょうか。
短いのは6年というものも知っています。しかしながら、10年前後と考えられている。また、8年のものもあります。こどもの年齢にもよるでしょう。
―下級審についてはどうでしょうか。
基本的には一緒ですが、相手方が有責性を認めて離婚を認めるものもあります。一例を挙げると、札幌家裁平成27年5月21日です。
―札幌家裁の判決はどのような判決だったのでしょうか。
札幌家裁としては、離婚を請求している女性側に、ずさんな家計の管理や安易で多額な借金の繰り返し、風俗店の利用を勧める、無断で自宅のカギを変えた点を指摘し、有責配偶者からの離婚請求が認められています。勝手に鍵を変えた事実が重視されています。別居のきっかけが、妻のカギの付け替えという点が重視されています。
―こどもの年齢はいくつだったのですか。
16、14歳と思われます。ただし、札幌高裁で破棄されています。
―札幌高裁で破棄された理由はなんだったのでしょうか。
別居期間が長期間に及んでおらず、未成熟子がいるということです。また、妻がパートタイム、こどもが学齢期にあるということにあることがいえます。
―別居期間は
2年11カ月です。
平成26年6月12日のフランス人の案件はどうですか。
―経済面が最も重視されているように思います。多額の財産分与を放棄しており、妻側が不倫をしています。ゆえに信義則に沿うようにされているのだと思います。
―別居期間が12年1月で同居期間が2年3か月で棄却というのは厳しいと思われますがどうでしょうか。
こどもが14歳であるということですね。また、妻が医師であること、夫が500万円の扶養的財産分与を提案をしていることに照らしても棄却されています。妻が医師として働いている時点でハードルが下がっている気がします。平成26年12月5日大阪高裁です。
本判決は、有責配偶者である被控訴人の責任の態様・程度を具体的に認定した上、上記2の(3)でみたとおり、被控訴人が不貞相手との関係を解消した後も自らの行動を省みることなく、控訴人の責任を主張して離婚を求め続けていること、控訴人が被控訴人との関係修復を気長に待っていると見ることもできること、長女が14歳の未成熟子であってなお当分の間、両親がともに親権者として監護に当たることが相当であることといった諸事情も考慮すると、同居期間が約2年3月で、別居期間が約12年1月であること、控訴人が医師として働いていること、被控訴人が婚姻費用の分担を継続していること、被控訴人が慰謝料500万円の支払を申し出ていること等の事情を考慮しても、被控訴人の離婚請求は信義誠実の原則に反して許されないと判断しているが、これは、上記最高裁判決の判示に沿った判断と考えられる。
本判決は、有責配偶者からの離婚請求を認容すべきかどうかの総合判断のあり方について示唆するところが大きく、実務的に参照価値が高い。
なお、本判決は、14歳の未成熟子が存在する事案について、有責配偶者からの離婚請求を棄却した事例であるが、未成熟子がいる場合の有責配偶者からの離婚請求については、最高裁平成6年2月8日第三小法廷判決・判例タイムズ858号123頁が、間もなく高校を卒業する年齢に達している子どもが存在する事案について、有責配偶者からの離婚請求を認容した原判決を是認して上告を棄却しているのです。
―不倫に詳しい弁護士に聴きました。