不貞行為の慰謝料の増額要素になるものパート2

不貞行為の慰謝料の増額要素になるものパート2

慰謝料請求を決意し勇気を出して相手に切り出しても、スムーズに示談交渉が成立するとは限りませんよね。相手が不貞慰謝料の増額に応じない可能性もあります。前回は、不貞行為の継続に着目して,慰謝料の増額要因にならないのかということについて解説しました。

具体的には、1)不貞が発覚しても交際を止めないパターン、2)交際を止めるように要請されているのに止めないパターン、3)交際を止めると約束したにもかかわらず反故にして継続したパターンについて解説しました。
では,不貞行為の態様として,「不貞行為の期間が長期であれば,それだけ被害者の被る精神的苦痛も大きくなります」よね。そうすると,不貞行為の期間が長期であることが慰謝料増額事由になるのでしょうか。また,長期といってもどの程度になると、「長期」と評価されるのでしょうか。

1.不貞行為の期間のパターン
不貞行為の期間としては,実務上は1年を超えるものは体感的にはめずらしいようにも思われなくもないです。全体の裁判例を概観すると、1年以内までの裁判例が全体の55パーセント、3年内までのものがほぼ大半となっています。
裁判例では,1)9か月のパターン、2)1年程度をもって増額事由と評価しているパターン、3)期間の長短が分からないパターン、4)1年3か月のパターン、5)少なくとも2年のパターン、6)3年のパターン、7)中断期間があるパターン、そのほか長いものでは、8)4年8か月のパターン、9)5年以上のパターンなどです。
なかには、不貞行為の期間が12年という事案もありました。(東京地裁平成30年3月15日判決)
もっとも,不貞行為の期間は悪質性を測定するメルクマールになりますが,上記のように,証拠の関係上,正確には,「期間の長短が正確には分からない」パターンもかなりを占めるのではないかと思います。裁判例では,1年程度をもって増額畏友と評価しているものがあることがポイントといえそうです。(東京地裁平成29年11月15日判決)
しかし,あまりにも,交際期間が長くなると,ある意味,「重婚的な側面」が出てきて悪質性が出る一方で,婚姻の破綻の程度は減額事由になることから,総合的に判断されているのではないかと考えられます。
2.不貞行為の回数と期間の関係
不貞行為というのは、性交渉のことをいうことが多いと考えられます。

東京地裁平成28年11月25日は、不貞行為の期間が「21年間」と非常に長い事例でした。
この点,裁判例は,不貞行為の期間と回数の問題について、回数よりも期間を重視しているのが特徴的といわれています。つまり、性的交渉の回数よりも、その関係が継続していた期間が長期に渡っていたことによって精神的苦痛を与えていたという評価になります。
もっとも、ここにいう、「期間が長期」も、性的接触を伴う交際期間をいうものと考えると、回数よりも期間の方が重要であるとまではいえないかもしれません。
次に、不貞行為よりも不貞回数を重視したといえる裁判例もあります。
東京地裁平成30年2月20日があり、約2か月の間に14回の不貞行為が認定されているというものです。
一般的に,期間よりも、回数が重視されるのは、交際期間が1年未満のもので期間としては長くない場合において悪質性を指摘する事情となっているのではないかと考えられるのです。
不貞行為の期間とは別にその回数も増額要素となります。例えば、1年に12回会っていたというのと、1年に1回しか会っていないというのとでは、増額要素の有無が異なってくるからと考えられます。
さて、増額要素として、挙げられる回数としては、1)1週間に1回程度、2)月に2回程度、3)2か月の間に14回不貞行為に及んだ―という点が有意なものと考えられます。

3.夫婦の婚姻期間が長いこと
夫婦間の婚姻期間が長いことも、不貞の慰謝料請求では増額事由となるものといえます。
この点,たしかに,結婚直後の不貞行為の方が精神的打撃の程度も大きく、慰謝料も多額にするという考え方もあり得ます。
しかし、実務上はむしろ逆の考え方の方が主流といえるでしょう。
不貞の慰謝料請求の保護法益は、「婚姻共同生活の維持」、つまり、「家庭内の平和」です。この家庭内の平和というのは、長期の夫婦の方が強固のものとなっているといえますから,不貞行為によって破綻してしまったようなケースでは、婚姻期間が長い方が法益侵害の程度が大きく、認容される慰謝料も多くなるのではないかともいわれています。
このように考えると、慰謝料増額事由として、考慮したと評価し得るかもしれません。
もっとも、夫婦の婚姻期間に着目すると、婚姻期間としては、3年から6年未満が多く全体の2割程度、次いで6年から9年未満及び9年から12年未満、12年から15年未満となっている。
当事務所では不貞・浮気・不倫の慰謝料請求案件を最重点取り扱い分野と定め、これまで多くのケースを解決まで導いて参りました。慰謝料協議の段階からアドバイスや代理交渉を承っております。
不貞の慰謝料請求を決意されて今後に関して不安を抱えている方がおられましたら、まずはお気軽にご相談ください。

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